第11回 不妊の40%はコレが原因!? 話題の「男性不妊」とは

男性にも知って欲しい不妊症の真実

芸能人もカミングアウト。不妊男性の秘めたる悩み

 2011年、ロック歌手のダイヤモンド☆ユカイさんが、ご自身が無精子症であると告白しました。診断されたときのショックを乗り越えて公にした勇気に、私は心から拍手を送りたくなりました。昨年7月に出版したご著書『タネナシ。』(講談社)には、自身の不妊治療を通して感じたことや、自分を労ってくれる妻への感謝と負い目など、葛藤の数々がつづられています。
 WHO(世界保健機関)の調査によれば、不妊症は、原因が男性にある場合と、男女ともにある場合がほぼ同率で、それぞれ24%。女性のみにある場合は41%、原因不明が11%となっています。
 つまり、不妊の約6割は女性の生殖能力以外に要因があるわけですが、日本ではいまでもこうした認識は薄く、不妊といえば女性側に問題があるように思われがち。それは誤解でしかありません。しかし、治療の現場でも、男性は「自分は大丈夫」という圧倒的な自信を持っているせいで、検査で不妊症とわかったときに口がきけないほど茫然自失してしまうことも少なくないのです。
 この数年の間に、男性自身が不妊の悩みを綴っているブログなどを見かけることが増えてきたとはいえ、まだまだ男性不妊症についての認識度は不十分と言えます。そんな中、ダイヤモンド☆ユカイさんの行動が男性にも不妊がある現実を広く知らしめたことは確かでしょうし、もっとオープンに話をしようという環境づくりのきっかけにもなったように思います。

知っておきたい、男性不妊とは

 では、男性不妊とはどんなものでしょうか。
 大きく分けると、原因は3つです。その中でいちばん多いトラブルは、「造精機能障害」という精子の異常です。精巣でうまく精子を作ることができず、精子の数が少ない、精子の奇形が多い、精子の運動率が悪いなどの状態を指します。現代のライフスタイルや生活環境の変化によって、男性の精子を作る能力が落ち、以前より造精機能障害による不妊症が増えているという報告もあるほどです。
 ほかに、精子はちゃんと作られているのに何らかの原因で精子がうまく運ばれない「精路通過障害」や、性交時に勃起しない勃起障害(ED)や射精に至らない射精障害といった「性機能障害」も深刻です。
 こうした男性不妊に至るには、遺伝的要因や、発育段階で不妊と関係のある何らかの影響を受けてしまったなど先天的な問題もありますが、ストレスや肥満、糖尿病、性感染症といった病気、喫煙や過度の飲酒といった生活習慣などの後天的なトラブルも、生殖能力を低下させてしまうことがわかっています。
 また、男性は女性と違い、いくつになっても妊娠力があると考えている人は多いのですが、女性ほどではないにせよ、男性も加齢によって妊娠力は下がります。具体的には、40歳を過ぎたら年齢の影響も大きいのです。

まずはチェックリストで生殖能力診断

 実は男性不妊においていちばん難しいのは、本人が無自覚だという点でしょう。性機能障害の場合はさすがに「このままでは子どもができない・・・」という焦りもあるでしょうが、健康な精子が少なかったり、精子が精管を通過していないとしても、自覚症状がまずないからです。
 妊娠する力には男女共通の部分もあって、“健康である”ことがポイントになります。ヘルシーな食生活、十分な睡眠、適度な運動習慣といった健康バランスが大事ですし、ときには「脱肥満」「脱飲み過ぎ」「禁煙」など、意識改革も必要です。
 大切なのは、自分の状態を確認しておくこと。いきなり病院で診断というのは気が重いでしょうから、まずは男性パートナーとセルフチェックをしてみましょう。このチェックリストを活用してもいいですし、インターネットなどで検索もできます。

来月から妊活コラムは新しいライターにバトンタッチいたします。
このコラムでは、リニューアルをはさみながら、1年以上にわたって「ポジティブな妊活」について考えてきました。その中には、産みたい女性の切実な声も、今回の「男性不妊」のような新しく注目されている問題もありました。それらが、みなさんが「自分らしい妊娠出産」を考えるきっかけになっていたら、幸いです。
私の連載は今回をもって終了となりますが、またどこかの媒体で女性たちの「産みたい熱」を応援するメッセージを発信していきたいと思います。いままでお読みいただき、ありがとうございました。これからの妊活コラムも宜しくお願いいたします。

※次回の更新は、2月を予定しています。

[12.01.13 Update]

三浦天紗子 (みうら あさこ)

三浦天紗子 (みうら あさこ)

ライター、ブックカウンセラー。インタビュー、ブックレビュー、ウーマンズヘルスなどの記事、著作を執筆。女性が幸せになるためのナレッジ提供がマイテーマ。
著書に『うるおい美人になれる! ホルモン・ダイエット』(産婦人科医 / ウィミンズ・ウェルネス銀座クリニック院長対馬ルリ子先生との共著、マガジンハウス)、また妊活と関係が深いものには『そろそろ産まなきゃ 出産タイムリミット直前調査』(阪急コミュニケーションズ)などがある。