第12回 “妊活”が、2011年の「今年流行った流行語」に!

 こんにちは。今月からこのコラムを担当させていただく、女性医療ジャーナリストの増田美加です。
 私自身、不妊症で不妊治療を経験し、たくさんの女性たちの妊娠・出産体験や不妊体験を20数年にわたり取材してきました。
 毎月このコラムでは、取材した女性たちの体験を織り交ぜながら、今私たち日本女性が直面している話題をみなさんと一緒に考えていきたいと思っています。よろしくお願いいたします。

 早速ですが、“妊活”―。この言葉が、2011年、年末の日経ウーマンオンラインの「今年流行った流行語」読者アンケート調査で、女子的流行語に“節電”とともに選ばれました!

 これに先立って、2011年夏に東京・恵比寿で行なわれた「妊活イベント」の様子が、NHKニュースでも放送されていました。この妊活イベントは、結婚や出産する年齢が高齢化する中で、妊娠についての正しい知識を身につけてもらおうと、出版社などによって開かれたもので、会場には30代を中心に男女約300人が参加。
「“妊活”という言葉ができたそうです」というNHKアナウンサーの言葉に始まり、「30代後半になると流産する割合が高くなること」などや、「若いうちから妊娠・出産を含めた人生設計が大切」と伝えた国立成育医療研究センターの齊藤英和先生や参加者のコメントが紹介されました。

妊娠に前向きに立ち向うことに、社会がエールを送る時代

 「妊活.net」が立ち上がってはや約2年半。
 私も昨年、女性誌『美的』などで「妊娠力」の記事を書いたところ、いずれも読者の女性たちの反響が非常に大きく、続編やパート2の記事を執筆するほどでした。
 “妊活”や“妊娠力”が社会に浸透しつつある観をもっていたのですが、予想以上に“妊活”への認知度が高いことを知り、驚くやら、うれしいやら。

 最近は梨花さん、小雪さん、SHIHOさん、木村佳乃さん、神田うのさん、加藤ローサさん、ほしのあきさん、小倉優子さん、倖田來未さんなど、あげたらきりがないほど、有名人の妊娠・出産ニュースが相次いでいます。
 「産むこと」に関心を寄せる女性が増えてきたことをつくづく実感します。以前は、私たち一般人だけでなく、有名人も仕事か子どもかの二者択一で、「結婚、妊娠したら引退」が女の花道という感じでしたから。

 また、爆笑問題の太田さんの妻・太田光代さんや無精子症という男性不妊を告白したダイヤモンドユカイさんのように、不妊治療をカミングアウトする有名人が増えてきています。これも、妊娠に前向きに立ち向うこと(これも“妊活”のひとつ)に、社会全体がエールを送る時代になったからではないでしょうか。

 そんな背景があって、“妊活”が女性的流行語に選ばれたのだと思います。

 私が取材した未婚女性たちも、
 「結婚したらすぐに子どもがほしい!」(25歳・PR会社勤務)
 「極端なことをいえば、結婚そのものへの憧れよりも、子どもがほしいから結婚したいのよね」(32歳・メーカー勤務)
 という声が。
 妊娠・出産適齢期の女性たちの話を聞くと、自分自身の身近な問題として、妊娠・出産を考え始めているなあというのがヒシヒシと伝わってきます。

一方で正しい妊娠の知識を持つ人が少ないという現状が・・・

 でも、これだけ妊娠・出産が身近な問題となりつつあり、情報があふれているその一方で、
 「いつまで産めるの? 40代ならOKでしょ? だって50歳で産んだ人だっているじゃない」(37歳・出版社勤務・独身)
 「妊娠・出産に適齢期があるの? 知らなかった!?」(30歳・デザイナー・既婚)
 「40代でも産んでいる有名人がたくさんいるもの。不妊治療をすれば大丈夫でしょ?」(39歳・編集者・既婚)
 「卵子凍結しておけば、いくつになっても産めるでしょ」(34歳・メーカー勤務・独身)
 などなど。

 高齢出産はリスクが高いことや、不妊治療をしても40代になると妊娠率、出産率ともに、かなり低くなること、を知らない女性たちが少なくないという現実が・・・。
 前述の国立成育医療研究センターの齊藤英和先生からは、「女性の妊娠能力は40代では30代より低下することを知っている人が、日本は46%にとどまるなど、正しい妊娠の知識を持つ人が欧米に比べて少なくなっている」というデータも発表されています。

妊娠に向かうためだけでなく、健康な体づくりのための知識を

 だから、“妊活”が大事。
 私は、妊娠に関する正しい知識を得たり、妊娠したいときに妊娠できるような(実際に妊娠・出産するかどうかの結果ではなく)健康な体づくりを行うことを、“妊活”だと考えています。“妊活”は、単に妊娠へ向かうための活動ではないということが重要です。

 つまり、自分の体のことを知り、妊娠・出産のメカニズムを知って、「産むにはリミットがある」ことを知ること。しかも間違った情報に惑わされず、正しい知識を入手すること。
 もちろん、私もそうですが、産まない人生、だってあります。それは自分らしい人生の選択であってほしいと思います。
 正しい知識を得ず、いざ産みたいと思ったときに、つらい思いをした、後悔したということになってほしくないから・・・。私たち女性が情報共有することも大切ですね。

 このコラムでも、次回から、現代を生きるさまざまな“妊活”女性たちの体験談をとおして、自分らしくイキイキと人生を歩み、妊娠・出産を前向きに考える女性たちを応援できる確かな情報を紹介していきます。

※次回の更新は、3月を予定しています。

[12.02.15 Update]

増田美加(すだ みか)

増田美加(ますだ みか)

女性医療ジャーナリスト。女性の健康&医療にかかわる執筆、講演を行う。
女性誌『婦人画報』『Oggi』、携帯WEBサイト『女子カレ』『ルナルナ』ほかで執筆・連載中。2012年3月に『「太りグセ」が「やせグセ」に変わる! リバウンドゼロダイエット』(高橋書店)を出版予定。著書に『きっと赤ちゃんできるから』『死ぬまで老けない人になる アンチエイジングの新常識50』『乳がんの早期発見と治療』『101新書 後悔しない歯科矯正』(いずれも小学館)ほか。
NPO女性医療ネットワーク理事、「マンマチアー委員会(乳房の健康を応援する会)」を仲間と主宰。NPO更年期と加齢のヘルスケア学会、NPO性と健康を考える女性専門家の会会員。
ブログ「名医訪問記」 http://masuda-meii.jugem.jp/