「赤ちゃんがほしい!その時の妻のキモチ・夫のココロ」

~Fine祭り2011 太田光代さんをお招きしてのトークタイム~

不妊に悩む方たちをサポートするNPO法人Fine(代表:松本亜樹子氏)は、スタッフが全員不妊体験者。当事者同士の支え合いが多くの人たちを救っています。Fineが年に一度開催するスペシャルイベント「Fine祭り2011」が、11月3日に東京の日経ホールで行われました。

3月の震災以降「絆」や「家族」が大切なキーワードになっている中、本イベントの目玉企画であるトークタイムに、爆笑問題の太田光さんの妻であり、所属事務所(株式会社タイタン)の社長でもいらっしゃる太田光代さんが登場。Fineの名誉会員でもある太田さんは自身の治療体験をメディアで公表しながら女性たちを勇気づけていらっしゃいます。
太田さんが連載している季刊雑誌『赤ちゃんが欲しい』(主婦の友社)のチーフエディターである志岐麻子氏、ポータルサイトAll aboutで「不妊治療」のガイドをしている池上文尋氏も同席され、経験談や夫婦関係のアドバイス、妊娠に前向きな女性たちへのメッセージをお話しくださいました。

忙しさの中続けた一度目の不妊治療

太田さんの最初の不妊治療は、今から10年ほど前。もっとも仕事が忙しい、30代の頃でした。夫婦の間では、子どもを持つことよりもお互いに仕事を頑張ろうという気持ちが優先していました。しかし二人は一人っ子同士の結婚。孫の顔が見られないことに落胆する親御さんを気遣い、夫の賛成を受けて治療を決意します。
当時は今ほどオープンに語れるような環境ではなく、忙しさと体のつらさを抱えながら4年ほど続けます。太田さんはその時をこう振り返ります。

「治療を始めてみて、こんなに大変なものかと思いました。仕事の忙しさと治療のストレスで痩せていき、一旦治療をストップしました。その後、体調も良くなり再開しようと思ったのですが、夫の方の数値があまりよくなく、機会を逸してしまいました。夫も忙しくて疲れているので、休めばいいのでしょうけど、あいにく働かせているのは私ですから(笑)。」

笑いが起こる会場。誰もが知っているご主人なので、思わず顔が思い浮かんだのかもしれません。

誰が「命」を選ぶの? 悩んでも出せない答え

一度目の治療で「体外受精」に挑戦するも、受精卵ができなかったという太田さん。治療の再開を迷っているときに医師から「顕微授精」を勧められました。当時はまだ前例も少なく、わからないことも多い状態。体外受精とは異なり、顕微授精は精子を「1つ選んで」卵子の中に注入するという治療法を頭では理解できても、疑問が残ったそうです。

「人が選ぶということ、その上で『じゃあ誰が選ぶの?』ということ。この二つの問を解決できなかったんです。」

「選ぶ」ことを躊躇した理由は、まさに太田さんらしいもの。芸能界という特殊な世界、プライベートさえもさらされてしまう世界で生きるゆえの責任の取り方なのかもしれません。

「もし子どもが将来世間にご迷惑をかけるようなことになったとき、私は『あのとき、あの精子を選ばなかったら・・・』と、責任転嫁してしまうような気がしたんです。もちろんそれは育てる家庭の問題ですよ(笑)。でも、私はそういう『逃げ』が働くような気がして、やめたんです。」

「言ってくれてありがとう」という声に背中を押されて

一度目の治療からしばらくたって出演した情報番組。司会の久米宏さんから「不妊治療をされてたんですって?」と話を振られた太田さん。聞かれるままに、体の苦しさや、それを周りに言えなかったつらさを話しました。

「私はよく『つわり』に似た症状に悩まされていました。電車での移動でも、1駅ずつ降りては乗っての繰り返し。食事もほとんどできない。そこまでして授かりたいと思って頑張っているのに、なかなか理解してもらえず一人で抱え込んでいる人も多いので、ぜひ理解して協力してあげてほしいということを話しました。」

放送後「言ってくれてありがとう」「私も悩んでいます」という声がたくさん届き、それだけオープンに語られていなかったことに気づきました。その内に女性誌のインタビュー依頼が来るようになり、『赤ちゃんが欲しい』の志岐さんと出会いました。
「なかなか治療経験を語って下さる方がいないので、ぜひにとお願いしました」という志岐さん。「でも、そこまでして下さるとは・・・」と志岐さんが驚いたのは、太田さんが二度目の治療をスタートしたこと。

「経験に基づいた話をということだったのですが、最初の治療から10年くらい経っていたんですね。私は経験者ではあるけれど成功者ではないし、顕微授精にもチャレンジしていない。悩み相談を受けるからにはと思い、二度目のチャレンジを決めたのです。」

テレビを見ている夫、ギャグを言う夫になぜかムカつく

志岐さんいわく、読者からの悩みで一番多いのは、治療中のご主人との関係。女性は体にも負担があり精神的にも落ち込むので、心と体のバランスを崩しがち。そんなとき、太田さんご夫妻はどうなのでしょうか。

「私は夫に当たり散らすことも多いです。ただ、いつも山ほど文句を言っているので、夫は治療が原因なのかどうかはわかっていないと思いますけど(笑)。
夫は家でもギャグを言う人で、普通のときなら笑えることでもムカつくんですよね。『何言ってんの、この人』という感じで、感情の起伏が激しくなるのは事実です。
知人の女性は、家でご主人がテレビを見ているだけでムカついたと言っていました。そのご主人いわく、『いきなり、後ろから思いっきりひっぱたかれた』と(笑)。」

笑いが起こる会場で、男性陣はこころなしか苦笑い。思い当たることがあるようです。夫が家にいれば頭に来るし、いなければいないで不安になる。散々八つ当たりした後に反省して泣いたりするので、夫からしたら面倒くさい。登壇者の池上さんも、「男としてはどうしていいかわからないというのが本音なんですよ」と嘆きます。

「ご主人にはちょっと寛大になって頂いて、子どもだと思って『よしよし』と抱きしめてあげてほしいんですよ。不妊治療は夫婦の問題ですから。」

さらに池上さんが「『今日』というタイミングの日に『絶対に早く帰ってきてね』と言われると、気持ちが引いてしまう」という男性ならではの悩みを紹介。すると会場の女性からは「えー」という声が。

「治療は日々の積み重ねですから、1か月に1回の『その日』を逃すと、それまでの努力が水の泡です。薬を飲んだり検査を受けたりして頑張っているのに、またご主人に逃げられたらますます不安になる。するとご主人は今まで以上に家に帰りたくなくなる。まさに本末転倒ですよね。だからこそ、一番大切なのは始めから夫婦で話し合うことなんです。」

受精卵を見て芽生えた母性、愛おしさがあふれる

太田さんの二度目の不妊治療は、一度目に迷った顕微授精。三回だけのチャレンジと決めました。一回目が残念な結果に終わった時はこんなもんだと思ったものの、二回目は心構えがまったく違っていたと言います。

「私は若い方に比べると妊娠の可能性は小さい。だから、いろんなことを我慢してストレスを貯めるより、我慢せずに自分らしく過ごしながら治療と向き合うことにしていました。でも二回目は、自主的にお酒やたばこを控えましたし、細心の注意を払いました。自分の体も受精卵も大事にしなきゃという気持ちが働いたんですね。それなのに、結果はNG。ものすごく落ち込みました。それは久しぶりに経験した、言葉にできない悲しみでした。」

そして三回目は3月にチャレンジしようと思っていた矢先、東日本大震災が起きました。時期を見ているうちに月日が経ち、今に至っているそうです。

「受精卵は、私を待ってくれています。私たちの子どもが生まれてくれるかもしれないという期待が持てています。これも母性かもしれませんが、自分の受精卵を見たとき、たまらなく可愛くて愛しい気持ちになりました。来年の春くらいに最後のチャレンジをと思っています。」

「治療」ではなく「前向きな努力」、理解と協力を求める働きかけ

「年齢が上がると女性の体には変化が起きます。元気でイキイキしている女性でも、日一日と年を取っていくことは止められません。
皆さんに知っておいて頂きたいのは、『人生で最も若いのは今日である』ということ。明日より今日の方が確実に若い。だからこそ、結婚と同時に子どもをどうするかについてご夫婦で話し合って頂きたいのです。妊娠・出産は夫婦の問題です。女性一人で抱え込んで解決できることではありません。二人で話し合って、最善の道を見つけてください。」

さらに太田さんは、専門医への相談も女性の負担を減らすためには欠かせないと言います。

「子どもが欲しいと思ったら、一刻も早く専門医に相談して努力を始めた方が女性の負担が少なくて済みます。自分の体のことでも、わからないことがたくさんあります。早めに相談することで、選択肢を増やせるかもしれないのですから。」

最後に、太田さんから女性たちへの心強いメッセージです。

「不妊治療は病気の治療とは違います。妊娠に向けての前向きな努力、私はそう思っています。
『前向きな努力』として社会にもっと理解されれば、女性たちの辛さや苦しみも変わります。同じように、親世代の方たちにも理解して頂きたいと思っています。
私は経験者であり、また一人の経営者でもあります。今後はさらに、企業や社会に理解と協力を得られるための働きかけを進めていくつもりです。
女性の皆さん、妊娠に向けての前向きな努力をがんばりましょう。ずっと、応援し続けます。」

☆★☆「どうする?教えて!病院選びのポイント」アンケートのお願い☆★☆

NPO法人Fineでは、一人でも多くの患者が「満足かつ納得した治療」が受けられるよう、治療環境の向上を願ってこのアンケートを実施しています。
不妊治療を受けたことのある皆さん(検査だけの人も可)、自分自身や仲間のため、日本の不妊治療環境の向上のために、あなたの日頃の思いをお聞かせください!

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(プレゼント応募締切日は2012年3月31日です)

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[12.01.13 Update]