年功序列や終身雇用が形骸化し、十人十色の様々な働き方が可能になりつつある現在。特に女性は、妊娠・出産時には働き方を変えざるを得ず、産休・育休もだいぶ浸透してきました。また地方自治体によっては、出産をサポートするような制度を設けているところもあります。妊娠・出産における企業や自治体の優遇措置について知っておくことで、経済的な不安も少しは解消できるのではないでしょうか。
産休・育休は「無給」ではないことを知っておこう
産休・育休による無収入を不安に思って妊娠・出産をためらう方もいらっしゃいますが、正社員として勤めている方であれば、産休・育休中は給料の50%が支給されることになっています(前々回の記事参照)。また会社が雇用保険に加入していれば、雇用保険からの給付金も望めますので、まずは会社に相談してみましょう。
育休は生まれた子供が1歳になるまでの間に取得できるものなので、産休を取って一旦仕事に復帰してみて、状況によっては育休を取ろうと考える人もいるようですが、会社によっては難しい場合もあるようです。休むなら休むで、始めからちゃんと決めておくことをおすすめします。
今は男性が育休を取得するケースも増えていますね。「育メン」が話題になっていて、子育てに積極的な男性が増えるのは、女性としてはうれしいことです。
育休を夫と妻のどちらが取得するかについて、ファイナンシャルプランナーからの一つのアドバイスとしては、「どちらの給料を50%とする方が、家計に影響が少ないか」を考えるということ。最近では女性の起業家も増えていますし、女性が年上で収入が多いというご夫婦もいらっしゃいます。「家事は女性の仕事」という考え方は古いと言われる今だからこそ、ご夫婦で率直に話し合って産休・育休のスケジュールを立てると良いのではないでしょうか。
企業は「働き方」のバリエーションを増やしている
妊娠・出産を控えた女性社員のサポートとして、企業では「9時-5時」ではない働き方を認めるようになってきています。
出社・退社時刻を自由に設定できる「フレックス」や労働時間を短くする「短時間勤務」など、働きやすい時間(帯)に仕事ができる制度を設けたり、企業によっては異動のない部署への配置転換を認めてくれるところもあります。
また、産休や育休からの職場復帰を支援する部署を設け、担当者が会社とのパイプ役になってスムーズな復帰を促してくれるところもあります。
いずれにしても、正社員であることが基本条件とされていることが多いようなので、自分の会社にどのような制度や優遇措置があるのかを知っておく必要があります。
また最近では、託児所を併設していたり託児所の斡旋をしてくれる企業もあり、保育料負担が軽減されるケースもあります。これらは女性社員が中心となっている企業に多く見られます。長年会社に貢献し、実力も経験もある女性社員たちに、出産後も活躍してもらいたいという企業の思いの表れと言えます。
妊娠・出産をきっかけに仕事を辞めるという選択もあります。ですが今は、経済的な理由と自分の生きがいのために仕事を続けたいと考える女性たちが多くなっていますし、それを歓迎する企業も増えているのです。
地方自治体は、家計の強い味方にもなる
出産や子育てに関する優遇措置は地方自治体にもありますが、これこそ千差万別。お金や物を支給してくれたり、割引価格で医療やサービスが受けられたりというのが主になります。
東京23区内で言うと、板橋区では赤ちゃんが生まれた家庭に「板橋区すくすくカード」が配布されます。育児ヘルパーや一時保育など、子育てに関する区のサービスが無料で受けられるものです。
中央区では、妊婦さんが通院などに使えるよう「タクシークーポン券(3万円分)」が支給されたり、赤ちゃんの誕生をお祝いして区内で使える「共通買物券(3万円分)」が支給されます。渋谷区でも一人の出産につき8万円が支給される「ハッピーマザー制度」が設けられています(※)。
ただし、妊娠・出産への公的支援が厚い自治体ではその分住民税が高くなることもあります。子供のいない世帯にとっては負担増にはなりますが、互いに協力しあって子供を育てていこうという考え方のようです。
また過疎化が進む自治体でも、子育てに関する措置を充実させているところがあります。このような支援措置によって、就学や就職で大都市に出た若い世代が妊娠・出産をきっかけに実家に戻り、過疎化に歯止めをかけることにもなるようです。
ご夫婦のご実家のある自治体の制度をよく知って、安心して妊娠・出産を迎えるという方法も良いのではないでしょうか。厚生労働省や自治体のホームページを見ると情報が掲載されていますので、チェックしてみてください。
企業にしても地方自治体にしても、優遇措置や制度を知っていないと活用できません。制度は一年ごとに変わることもあるので、必要なその時々で確認するようにしましょう。
「情報弱者」にならないよう、情報収集をした上で制度を上手に活用し、安心して妊娠・出産を迎えられるようにしたいものです。
(※)板橋区・中央区・渋谷区の制度については2011年9月現在
[11.09.30 Update]