食事の偏りをなくし、バランス重視に切り替える

~妊娠・出産を控える女性は「標準体型」を目指そう~

働く女性は、食事も不規則になりがち。また、溜まったストレスを発散すべく食べ過ぎてしまい、後悔することもあります。なかなか整えることの難しい食生活について最低限気を付けたいことを、詠田先生にアドバイスして頂きました。

偏った食生活を改善し、バランスを考えて食べ物を選ぶようにする

― 仕事で忙しい毎日を過ごす女性たちは、食べる時間も食べるものも不規則になってしまいます。外食などで手軽に済ませようと思うとどうしてもカロリー過多になってしまい、体にもよくないことはわかってはいても、なかなか改善の道が開けません。

詠田先生:食生活については、食べる時間やカロリーなどいろいろと整えるべき要因はありますが、まずはバランスのいい食事を心がけたいものです。普段から肉料理ばかり食べている人は、週に一日でも肉を食べない日を作るとか、油ものが多い人は油抜きの日を作る。週に一日は「お休み」の日を作ることから始めてみましょう。普段食べ過ぎていると感じるなら「今日はお茶漬けにしよう」など、過剰な分を一日だけでもマイナスしてみることから始めれば、それほど大変ではないと思います。

― やはり、肉や油を中心とする欧米型の食事はなるべく避けた方がいいのでしょうか?

詠田先生:欧米型がダメというわけではありませんが、アメリカなどでは肥満が社会問題になっていますから、注意した方がいいのは確かですね。食べた分と同じだけ運動をするなどして消費できればいいのですが、忙しい日々を過ごしている皆さんはそれも難しいところでしょう。欧米型が良いか悪いかというよりは、消費せずに食べるだけで、過剰にカロリーを摂取する一方になってしまうことが良くないのです。

― バランスを整えるために、まず過剰な分を減らしていくことから始めるということですね。

詠田先生:そうですね。もちろん肉も油も体のためには必要なものですが、それだけでは必要な栄養素を摂取できないのです。例えば魚には、魚の脂に多く含まれる不飽和脂肪酸という栄養素があります。これは動脈硬化の原因となる悪玉コレステロールを減らしてくれるものなのですが、肉にはほとんど含まれていません。だから、色々なものをバランスよく食べることが大切なのです。

やせすぎ・肥満を避けて、「普通の体」「標準体型」を目指したい

― 食べ過ぎによる肥満も問題ですが、だからといって食事を制限しすぎるダイエットも危険ですよね?

詠田先生:もちろんです。脳の視床下部というところが食欲と生殖をつかさどる中枢で、ここからホルモン分泌の指示が出されるのですが、過度な食事制限で拒食症になると視床下部が機能しなくなります。そのため、無月経を引き起こしてしまうこともあるのです。過剰なダイエットで生理が止まってしまう人は、卵巣性の無月経ではなく視床下部性の無月経であることが多いのです。月経がないということは排卵がされていないということですので、妊娠力も著しく低下します。また、拒食症を克服して体重が戻ってから視床下部機能が回復するのに3-4年かかりますし、その間、加齢によってさらに妊娠力が下がっていくわけですから、大切な時間を無駄にしてしまうことになりかねません。
それより問題なのは、やはり肥満です。肥満による動脈硬化は元に戻すことができません。動脈硬化で血液の流れが悪くなると、妊娠・出産にも影響してきます。元に戻せないという点では、肥満の方が事は深刻かもしれません。

以前の回で、BMI値は20-24が妥当で、やせすぎでも太りすぎでもない「普通の体」でいることが大切とおっしゃっていました。

詠田先生:「普通の体」でいるために、極端な食生活ではなく「普通の食生活」、つまりバランスのとれた食生活が重要なのです。ただ、専門家でない限り毎食毎食のバランスを完璧に整えることは不可能ですし、そんな余裕はないと思います。また「あれを食べなきゃ」「これは絶対食べてはいけない」と思ってしまうと、かえってストレスになり過食に走ってしまう危険もあります。
もし今、「つい好きなものばかり食べてしまう、いつも同じものを食べてしまう」という傾向があるとしたら、一日だけでも変えてみることから始めましょう。栄養バランスを意識して標準体型の維持を目指すことが、妊娠・出産に備えた食事管理の第一歩です。

― 食事は体づくりのためであるとともに、楽しみでもあるもの。それをムリに変えたり我慢したりすると、ストレスが溜まってしまうので逆効果になってしまいます。
まずは今の食生活を見て、偏りや過剰な部分があれば、それをなくしていくことがスタート。食べ過ぎやカロリー過多が気になる場合は、週に一日くらい胃を休める日を作ってみると良いでしょう。
バランスの良い食生活を意識して、「普通」「標準」体型を目標にしましょう。
次回は、妊娠・出産を控えた体づくりにとって大切な「睡眠」を取り上げます。

※次回の更新は、2月を予定しています。

[12.01.30 Update]

詠田由美(ながたゆみ)

詠田由美 (ながた ゆみ)

1980年福岡大学医学部卒。フロリダ大学産婦人科にて内視鏡手術を学ぶ。
1989年より福岡大学医学部で体外受精研究を始め、1995年より福岡大学病院不妊治療グループチーフ(福岡大学医学部講師)となり、日本産婦人科内視鏡学会シンポジスト、エンドメトリオーシス研究会シンポジスト、日本受精着床学会シンポジスト、アメリカ生殖医学会発表ならびに座長などを経て、1999年4月IVF詠田クリニックを天神に開業。2004年10月現在の日の出福岡ビルに移転。
医療法人IVF詠田クリニック

医療法人IVF詠田クリニック

見通しがよく、明るい空間が出迎えてくれます。IVF詠田クリニックでは、診療にはプライバシーを守る空間とオープンな環境の両方が必要との考え方から、院内フロアコンセプトとして「プライバシー&オープン」を掲げています。女性が通いやすいよう洗練された雰囲気と清潔さを保ちつつ、人の温かみを感じる内装が特徴。リラックスして通院できるよう、女性院長ならではの心遣いが感じられます。
http://www.ivf-nagata.com/main.html

【+α情報】「食事バランスガイド」で毎日の食事をチェック!

食事に関して「バランスが大事」ということはわかっていても、「バランスが取れている食事」がどういうものかがわからなければ、日常生活で実践できません。
そこで、誰にでもわかりやすく表したものが「食事バランスガイド」です。これは厚生労働省と農林水産省が決定しているもので、健康な人がより健康になるために作られました。
一日分の食事を「主食」「副菜」「主菜」「牛乳・乳製品」「果物」に分類し、それ以外にも必要な「水・お茶」と「運動」、また「菓子・嗜好飲料」も必要なものとして表示されているのが特徴。
食事に気をつけるというと「我慢」をイメージする人も多いかもしれませんが、「食事バランスガイド」はそうではありません。お菓子などを「楽しみ」ととらえ、「楽しく適度に」というメッセージとともに食事全体の中で適度に摂ることを勧めています。
「食事バランスガイド」は、食事の分類ごとに色分けされ、具体的な料理内容がわかるようにイラストで表記されています。また、分量の目安も記載されているので便利です。
健康な体作りにとって大切な食事とは、様々な種類の食材から栄養素を取り込み、適量を楽しく食べること。ぜひ実践してみてください。

<参考>
「食事バランスガイド」について(農林水産省)
バランスを示すコマのイラストや、性別・年齢・活動量によって異なる食事の適量を紹介しています。