生活パターンを考慮し、自分に合った睡眠時間を確保する

~睡眠をしっかり取って妊活を続けるパワーを養う~

一日頑張った心と体を休めるために必要なのは、毎日の睡眠。どんなに元気な人でも、睡眠を取らなければ体力を失うばかり。ちゃんと回復する時間を確保しなくてはなりません。特に女性にとっての睡眠は、ホルモンバランスと深い関わりがあるのです。妊活を考える上で睡眠がどのように大切なのかについて、詠田先生にお話し頂きました。

自分の生活パターンの中で、深く眠れる時間を確保する

― やることがたくさんあると、どうしても犠牲にしてしまうのが睡眠。「寝る時間を削ればいい」とか「後からゆっくり寝ればいい」と、不規則になってしまいがちです。

詠田先生:仕事をしている女性は、なかなか規則的な睡眠が取れないと思いますが、「何時間眠らなくてはいけない」ということはありません。もちろん、あまりに睡眠時間が短いと体の疲れがとれないということはありますけどね。自分の体の調子や生活パターンなどによって、その人なりの「私的睡眠時間」があるものです。何時に寝て何時に起きるといい、何時間眠るのがいいかは、自分で見つけるのがベストです。

― 時間が空いたときに小まめに寝て、合計何時間というのでもいいのでしょうか?

詠田先生:小刻みに寝たのでは体の疲れがとれません。体を休めるという意味であれば、連続した深い睡眠を取るように心がけてください。忙しくて徹夜で仕事をする女性もいるでしょうが、睡眠を取らないと思考力が低下しますし、かえって能率が悪くなります。また、不眠はホルモンバランスを崩し、太る体質をつくってしまうといわれています。妊活女性には思い切って睡眠をとり、スッキリした状態で仕事と妊活に励んでもらいたいですね。

― 昼夜逆転の生活パターンもあると思うのですが、やはり夜に眠るというのがいいのでしょうか?

詠田先生:人間の体内時計を考えると、昼と夜というリズムに合わせた方がいいですよね。人間には光や灯りを浴びない時間は必要ですし、できれば暗くなった夜は活動せずに休む時間にしたい。ただし、職種によってはそれができない方もいます。フライトアテンダントの方たちは時差の中で世界を飛び回っていますが、取れるときに睡眠を取って体を休めています。昼夜逆転の生活だからといって、睡眠の意味がないということではありません。それよりも、自分にとってベストな睡眠の取り方を見つけて、一定時間深い睡眠を得ることの方が大切です。

ホルモン分泌によって眠くなる時期があることを知っておこう

― 女性の場合、月経が近くなると急に眠くなったりすることがありますが、これはどんな関わりがあるのですか?

詠田先生:排卵から次の月経までの間、非常に眠くなることがあるのですが、これはプロゲステロンという妊娠の準備をするホルモンの分泌によるものです。プロゲステロンには、活動性を落とす作用があります。いつもは仕事を頑張っている女性でも、プロゲステロンの影響で眠くなったり、やる気がなくなったりイライラしたりすることがあります。ちなみに、妊娠時のつわりもこのホルモンの影響です。「今は体を休める時だ」という体からの指令なのです。
男性からしたら、「どうして急に怠けるんだ」と思うかもしれませんが、ホルモンがそうさせているのです。当の女性も、ホルモンのままにしていることなので気がつかないんですね。

― ホルモンの影響で眠くなるようなときは、寝た方がいいのですか?

詠田先生:できることなら体の生理に従った方がいいのですが、仕事をしているとなかなかそうはいきません。まずは、自分で「今はそういう周期なんだ」と知ることが大事。今はプロゲステロンの時期だから、眠くなったりイライラしてしまったりする。だからなるべく人に会わないようにするとか、重要な決めごとは次の月経が来てからにするなど、予定を立てておくのです。無理に頑張りすぎてストレスを溜めてしまっては皆さんの体にもよくありません。ホルモンの影響による体の変化と上手に付き合いながら賢く妊活してみてください。

― いずれにしても、体の声を聞きながら睡眠を取ることが大切なんですね。

詠田先生:生命体には睡眠が必須です。眠るのは、体を休めて疲れとストレスを解消するためです。ずっと緊張した状態でエネルギーを使い続けていては、消費するばかり。また、過度のストレスは妊娠力を下げることにもなります。疲れやストレスをリセットし新たな活力を溜めるためには、活動をストップして眠ることが必要なのです。

― 本当に体を休めるためには、休憩や休息ではなく睡眠が必要。もちろん夜の到来とともに眠れればそれに越したことはありませんが、現代人のライフスタイルを考えると難しいでしょう。またそれぞれの事情によって、長時間の睡眠が取れないこともあります。
何時に寝て何時に起きるかではなく、体がちゃんと休まる睡眠時間を知っておくこと。そしてホルモンによって眠気が影響されるのを知っておくこと。自分の体を知ることが大切なのです。

※次回の更新は、3月を予定しています。

[12.02.15 Update]

詠田由美(ながたゆみ)

詠田由美 (ながた ゆみ)

1980年福岡大学医学部卒。フロリダ大学産婦人科にて内視鏡手術を学ぶ。
1989年より福岡大学医学部で体外受精研究を始め、1995年より福岡大学病院不妊治療グループチーフ(福岡大学医学部講師)となり、日本産婦人科内視鏡学会シンポジスト、エンドメトリオーシス研究会シンポジスト、日本受精着床学会シンポジスト、アメリカ生殖医学会発表ならびに座長などを経て、1999年4月IVF詠田クリニックを天神に開業。2004年10月現在の日の出福岡ビルに移転。
医療法人IVF詠田クリニック

医療法人IVF詠田クリニック

見通しがよく、明るい空間が出迎えてくれます。IVF詠田クリニックでは、診療にはプライバシーを守る空間とオープンな環境の両方が必要との考え方から、院内フロアコンセプトとして「プライバシー&オープン」を掲げています。女性が通いやすいよう洗練された雰囲気と清潔さを保ちつつ、人の温かみを感じる内装が特徴。リラックスして通院できるよう、女性院長ならではの心遣いが感じられます。
http://www.ivf-nagata.com/main.html

【+α情報】足を温めて心地よい眠りにつきましょう

寝ようと思ってもなかなか眠れないとき、足を温めるのがオススメです。温めると血行がよくなりますし、心臓から最も遠い場所にある足の血行をよくすることで全身を温かくする効果もあります。
「頭寒足熱(ずかんそくねつ)」という言葉を聞いたことがあると思いますが、人間は手足の体温が上昇し体の深部(中心部)の体温が下がると、リラックスして眠くなると言われています。うまく眠りにつけないときは、足の体温を温めることで寝つきをよくすることができます。
足を温める方法としては、足湯(フットバス)や湯たんぽが人気ですね。特に湯たんぽはサイズの小さいものやプラスチック製品など、カンタンに使えるものが増えています。またペットボトルにお湯を入れてタオルで巻いた自作の湯たんぽを使う人もいます。
温めるときに注意したいのは、温めすぎないこと。足は他の部位に比べて発汗量が多いので、温めすぎると汗をかいてムレてしまいます。ムレると足のトラブルの原因にもなりますので、気をつけたいものです。
足をじんわり温めて、リラックスして眠りにつきましょう。

<参考> 
バラエティに富んだ湯たんぽ
エコブームもあり、注目されている湯たんぽ。サイズやカラ―などのバリエーションが増えてきました。
『湯たんぽ専門店』 http://yutanpo-cuseberry.com/